参加者の貢献:臨床試験の大きな進展

2024年5月5日のWings for Life World Runに向けて世の中は盛り上がっていますが、先日、さらに盛り上がりました。なぜなら、皆さんの参加費と寄付金によってWings for Lifeが支援している脊髄損傷の治療法研究プロジェクトのひとつが目覚ましい結果を生み出したのです。

このプロジェクトは、これまでのリハビリテーションの結果を大きく向上させることができる人体の迷走神経に電気刺激を入れて従来のリハビリテーションの結果を大きく向上させています。プロゲーマーのGrandPOOBearことデイビッド・ハント氏はテキサス大学ダラス校を訪問した際に、このテクノロジーがすでに臨床試験の被験者の生活改善に貢献しており、今後5年で幅広く活用される可能性があることを学びました。

スノーボードの事故で負った脊髄損傷の治療に数ヶ月を費やした経験を持つGrandPOOBear氏はテキサス大学ダラス校を訪問し、プロジェクトリードを担当している同大学生体医学装置センターエグゼクティブディレクター / チーフサイエンスオフィサーのマイケル・キルガード(Michael Kilgard)教授に話を聞きました。キルガード教授は、プロジェクトチームは迷走神経への電気刺激を耳鳴りやまひのような症状の解消に用いたあと、てんかんの治療にも用いた結果、いずれのケースでも安全で効果が高いことが判明したとし、次のように続けました。「脊髄損傷はかなりレアな怪我ですが、深刻な身体障害に繋がります。私たちは迷走神経へ電気刺激を入れて新しい神経接続を創出することで、脊髄損傷に悩まされている人たちの自立を取り戻そうとしています」

プロジェクトの臨床試験は、脊髄損傷が人体の神経線維に与える損傷の一部の無効化を目標としています。そのプロセスは非常にシンプルで、被験者のリハビリテーション中に、首の左側に埋め込んである小型チップから瞑想神経経由で脳に電気インパルスを流します。そして次に脳がこの刺激に合わせて神経回路の調整方法を学習し、神経細胞は神経伝達物質を放出して再接続を試みます。この試験の最初の効果はわずか1週間以内に確認され、そのあとさらなる効果が見られるようになります。

プロゲーマーのGrandPOOBear氏は、迷走神経へ刺激を入れる方法に、入念に開発されたビデオゲームを手の機能性を向上させるためにデザインされたコントローラーでプレイすることが含まれていることを知って喜びました。時間経過とともに被験者が快方へ向かっていく様子を記録したビデオを視聴した彼は、このような結果は科学研究のかなり先の未来にならなければ得られないと思っていたため、大変驚きました。

「私のフィールドに近いので驚きましたね」とGrandPOOBear氏はコメントし、次のように続けました。

「リハビリテーションを30セッションを終えたあと両手の動きが格段に向上した方がいらっしゃることを学びました。たった1ヶ月の努力でそこまで良くなるのです。可能性を考えると胸が躍りますね」

世界では毎年約25万件の脊髄損傷が新たに発生していますが、今回ご紹介したテキサス大学ダラス校の研究プロジェクトは、これらのようなWings for Lifeが支援する全世界わずか299件の最先端研究プロジェクト / 臨床試験のひとつに過ぎません。脊髄損傷の治療法はまだ発見されていませんが、2018年に大きな話題となったスイスのSTIMOプログラムの結果をはじめ、発見発見に向けて着実に前進しています。

迷走神経への刺激が腕の動きを司る脳内のニューロン数を3倍まで増やした実験を過去に見ているキルガード教授と彼のチームは、腕と脚の機能性だけではなく、微細運動能力も向上させようとしています。水が入ったボトルを開けられない、あるいは大切な人に手を握られても何も感じられない自分を想像してみてください。被験者の多くが、このようなシンプルな能力を取り戻せるだけで自分たちの生活が大幅に向上するだろうと語っていますが、迷走神経への刺激はその解決策になるかもしれないのです。

テキサス大学ダラス校のプロジェクトチームは患者が自宅でも使えるように迷走神経刺激テクノロジーを小規模かつ安価にまとめており、キルガード教授はこれから約5年以内にこのテクノロジーが脊髄損傷を抱える人たちの治療に幅広く使用されることを期待しています。しかしながら、そのためには研究への継続的な資金援助が不可欠です。

そしてこれが、GrandPOOBear氏が世界中の人たちに5月5日への参加登録を呼びかけている理由のひとつです。彼は次のように語っています。

「私は今年もWings for Life World Runに参加する予定です。世界中の皆さんに参加していただきたいですね。ラン、車いす、ウォーキング、ジョギングを問わず、どのような形で参加しても、参加費の全額がテキサス大学ダラス校の研究センターのような優秀な施設へ送られるので本当に素晴らしい気持ちになれますし、参加人数が多いほど、より多くの研究資金が集まります。参加すれば、その瞬間に脊髄損傷の治療法研究に今すぐ大きな影響を与えることができるのです」

レース当日が近づいています! Wings for Life World Runへの参加登録はこちらから受付中です。